ツールドフランス最終日の前日です

 18日19日と駆け足でドイツに足を伸ばしてきました。次回は8月10日に夏休みで来てくれる次女をフランクフルトからの見送りも兼ねて、最後のドイツ行きです。ベルリンで壁博物館に行きたいという希望が出ているのだけれど、パリ→ベルリン→フランクフルト、ちょっと遠いけれども、実現させたいものです。

 最近あまり書き込めていませんが、朝の時間に、少し書いておきます。今は土曜の早朝です。今年は冷房の習慣のないフランスでは4年前同様の過酷な猛暑になると予想されていて、予想に沿うような暑さと強い日差しの一週間もあるかと思えば、このほどは、7月にも関わらず、長袖が必要なほど、寒い一週間でした。昨日は朝1時帰宅だったのに、今朝もあまりの寒さに、早く目覚めてしまいましたが、朝、時間があるのは嬉しいし、何より気持ちがいいですね。

 さて、昨夜10時からの、アラブ世界研究所での野外映画会に行きました。1940年イギリスで制作された映画を観てきました。8月半ばまで毎日アラブ世界にまつわるエジプトチュニジアロッコ等のフランスと歴史的つながりの深いアラブ世界で制作された映画の上映が続きます。お話は千夜一夜物語をベースにして当時のイギリスのラブロマンス。アラブ系とは程遠いイギリス人顔の王子様の地位を魔法で奪い、お互い両思いの他国の王女様との間を引き離そうとする、魔術師のべたな魔法と、どう考えても無理があるだろうという、あほあほな合成映像が、おもしろすぎます。王子とインド系美少年のスリの少年とのでこぼこコンビとの掛け合いも最高でした。第二次大戦前にこんな映画を作れたことに感銘を受けながら、次回はエジプトの1950年代の映画を観に行きたいと思います。イスラム教と仏教の世界観がまじりあっているのはご愛嬌でした。奈良を彷彿とさせるようなる大仏(体の中がなぜか、地獄になっている)のみならず、青で、全身ペインティングした、青鬼達も出てきました。思い切り私事ですが、映画終了後、同じ映画を観にきておられたおばあちゃん方と帰路のバスで話しました。皆とても優しくってね、近年亡くなったおばあちゃんを思い出して、超おばあちゃんっ子だった私は、心ほかほか、そしてちょっぴりホームシックになっちゃった。渡仏が決まってから実家のお仏壇の前で祖父や祖母への報告をしたのだけれど、生前と変わらず、いつも見守られているようにも感じた、夜でした。

 アラブ世界といえば、ドイツまでの道中、オマーン教育機関でシリコンの化学分析を学んでいて数ヶ月のスタージュ(職業訓練)に来ている大学生と話しました。オマーンアラビア語と英語を話す国で、石油で日本とのつながりも多く、在住している日本人も多いようです。一人で全体を判断できませんが、様子からも、経済状況も割と豊かな国のようです。ケルン駅で乗り継ぎ等の路線情報を代わりに聞いて、マインツまで同一行程だったので、同行しました。朝6時のユーロシティに乗りましたが、フランクフルトまでの乗車券で途中下車が出来るので、隙間時間を使って、マインツにも降りてみました。
 

 さて、とうとう明日はツールドフランスです。今週一・二度つけてみたテレビニュースによれば、ツールに言及していますし、コマーシャルも協賛企業が一言のみならず、コマーシャル自体がツールバージョンになっていて、自転車一色になっています。それも面白いです。少々駆け込みっぽいですが、ドイツで購入していたツール特集の雑誌はコース等の情報も豊富なので、今日の移動中の時間に、ちょっとだけでも事前情報を仕入れてから行きたいですね。ツール開始一週間までは追えていましたが、友人がパリに来て彼女を数日案内していたり、彼女の遣り残した分を地の利を活かして進めていたり、先月から予定していた恒例のドイツ行き等々で中断していました。アームストロングが一位になり、ヤンウルリッヒが検討して4位に入ったところまでで、情報は停止中。ドイツの雑誌や新聞はアーム氏の話題のみならずヤン様の報道も多く、フランスは自国の選手が2位か3位につけていたときには、彼の特集をしていました。さて今はどうなっているのでしょうか。楽しみです。

 ツールのルールは、かなり戦略的で、面白いのですね。自然の風景も楽しめ、また複雑さも兼ね備えたスポーツは、とても興味深いですね。さすがに日々追っかけることは出来ませんでしたが、最西部から始まり、中央から跳んで最東部から西へ向かう、国を横断して3週間もかけて行われる、この恒例のレースが、地域の人々に愛されることも、わかるような気がします。目の前を通るのは一瞬なんだけど、映像を見ていると、気持ちがよさそう!

 では、メールチェックしてから、部屋で出来る作業をしてから、週末も開館しているフランソワミッテラン国立図書館に行ってきます。ここの研究者階はとても静かですし、独仏の雑誌類も豊富です。独の本はさすがに本国には蔵書は及びませんが、少々専門的にすぎる2つの雑誌はフランクフルトで十分に補えますし、専門的な出版社がフランクフルトにあるので、むやみに心配性である私も安心できます。最近は知人の分も資料収集をしていたこともあって、自分の作業と同時進行していましたので、週末はひとやすみ。

 今日の予定。
 仏については、第一に、厚さが10センチ以上ある議会資料の概略を一覧に書き込み、二つの基礎文献の裏付けを取り、今後の戦略を立てること。第二に、日曜夜までは、少しばかり古いのですが、受け入れの先生の文献から派生する重要なテーズ(博士論文)が月曜に手に入るので、関係性を明らかにするために先生の文献を再確認しておきたいところです。合間に気分転換と会話表現の幅を増やすために友人にかりている口語仏文一冊をノートに写し一元化する作業を継続。
 独については固めておきたかった中心的な先生が最近言及されて加筆された文章を持ち帰ったので、彼の意見に変化がないことを確認して、補強する部分の訳を既に作成している文章の一部に取り込む前段階の文章を作成すること。さしあたり継続中の分析は、他分野にも及ぶもので、自分の今までの蓄積は整理にすぎないのだけれど、年季も違う先輩方には若輩が及ぶわけもないと割り切りませう。
 二つをつなぐ博士論文があるのですが、合間に楽しく読もうと思います。参考にすぎなくても、一つの形が既にあると思えば、安心しますね。独から仏を照らしたときに、仏で抜けていて気になっていた部分を補えたので、感謝しきりです。同様に、仏から独を照らしたものもあるんですよね。

 ツールドフランスはフランス2で実況中継されていました。とうとう日曜の午後、シャンゼリゼ通りとリボリ通りを周回して、ゴールしました。日々の優勝者は黄色の競技服を着用するのですが、前日の優勝者であるアームストロング氏が着ていました。途中のタイムロスもあり、最終日の優勝者はヤンウルリヒの所属するドイツのTテレコムに所属する選手でした。総合でアームストロング氏が優勝、3位にヤンウルリヒが入りました。シャンゼリゼの人手はすごいようで、最近パリは長袖を着ても寒いくらいに冷えていて、朝夕には薄手ながらウールのはおりものをかけても足りないくらい冷えます。しかも国立図書館の研究者の階はさらに冷房(クリマティゼ)がきいていて、寒いくらいです。
 父親と電話で話していたのですが、今年の日本は暑いようですね。私は詳しいことはわかりませんが、日本が暑いときにはヨーロッパは冷夏になるのかな?